裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制の勤怠管理のポイントを解説
働き方改革
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新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革の促進により、新しい働き方に高い注目が集まっています。
自由な働き方を実現しやすい『裁量労働制』『変形労働制』『フレックスタイム制』は、従来とは異なる新しい働き方なので、勤怠管理の方法も改めて考え直す必要があります。
この記事では、裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制のそれぞれの特徴と、適切な勤怠管理を行うためのポイントを解説します。
公開日:2022年11月1日
目次
裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制とは?それぞれの特徴
裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制は、定時が決められている従来の働き方とは異なるため、残業時間や勤怠管理の方法などに悩んでいる方が多いでしょう。
適切な勤怠管理をするためには、そもそも、これらはどのような働き方なのかを詳しく把握している必要があります。下記の項目では、それぞれの特徴を詳しく解説します。
裁量労働制
裁量労働制とは、勤務時間や時間配分を個人の裁量に任せる制度です。
労働時間ではなく成果に対して報酬(給与)を支払うことも目的であるため、裁量労働制は誰にでも適用できるわけではありません。導入できる業種・職種が限定されています。
実際に働いた労働時間ではなく一定時間の勤務をしたとみなす制度なので、6時間働いても10時間働いても契約が8時間の場合は『労働時間は8時間』とみなされます。
すべてを個人の裁量に任せているため、出退勤や労働時間だけではなく、同時に一般的な時間外労働という概念もなくなります。しかし、残業代が発生しないわけではありません。
裁量労働制は、労使協定により定めた時間をみなし労働時間として適用されます。そのみなし労働時間を超過した残業時間分は残業代を支払う必要がありますし、22時を超える深夜勤務や休日出勤には割増賃金が発生します。
導入するメリット
裁量労働制を導入することで、企業は下記のメリットを受けられます。
- 労働者のパフォーマンス向上
- 人件費の管理がしやすくなる
最大のメリットは、人件費のコスト管理がしやすくなる点です。
裁量労働制は、会社が最初に定めた時間を働いているとみなして給与を支払うため、ある程度は固定で人件費を算出できます。
さらに、従来までの働き方とは違い一般的な残業という概念がないため、労働者は早く仕事を終わらせれば早く帰宅できるというモチベーションの向上に役立ちます。
導入するデメリット
企業は、裁量労働制を導入することで生じる下記のデメリットに注意する必要があります。
- 労務管理が難しい
- 自己管理能力が低い労働者だとパフォーマンスが低下する
最大のデメリットは、労務管理が困難になる点です。長時間労働が当たり前になるような仕事の割り振りは避けながら、一人ひとりに合った適切な割り振りが求められます。
また、一定時間の勤務をしているとみなす一方で、みなし労働時間よりも実労働時間が長ければ超過分の残業代の支払いが必要ですし、深夜労働や休日出勤は手当が発生するので、適切な管理が求められます。
変形労働制
変形労働制とは、労働時間を週、月、年単位で調整できる働き方のことです。
繁忙期の所定労働時間を長く設定することで、結果的に時間外労働時間を削減させることが可能です。なお、このようなケースでは閑散期に所定労働時間を短くすることで清算期間内の所定労働時間の帳尻を合わせる必要があります。
これだけ聞くと、ただ長時間労働をしても残業代が出なくなる制度と思われそうですが、そうではありません。変形労働制は、業務量が少ない時は所定労働時間を短くしようという制度です。
とはいえ、1日8時間、週40時間という決められた法定労働時間を超えている場合は、変形労働制を採用していても残業代が発生します。
導入するメリット
変形労働制を導入することで、企業は下記のメリットを受けられます。
- 無駄のない働き方を実現できる
- 残業代の削減
- 労働者のライフワークバランスがよくなる
1日8時間と決められている従来の労働形態では、閑散期と繁忙期のどちらも働く時間が変わりません。
しかし、変形労働制を導入していれば、閑散期は6時間で繁忙期は10時間と規定することができるため、事前に決めておけば残業代を削減することができます。
労働者の観点から見ても、忙しい時はしっかり働いて暇な時はすぐに帰宅できるため、仕事に対するメリハリが付けやすく、休暇を有意義に過ごせるというメリットがあります。
導入するデメリット
企業は、変形労働制を導入することで生じる下記のデメリットに注意する必要があります。
- 残業時間を算出するのに手間がかかる
- 適切な就業規則を整備するのが難しい
変形労働制は日、週、月ごとに異なる所定労働時間があるため、勤怠管理が複雑で残業時間を算出するのに手間がかかるというデメリットがあります。
たとえば、10時間勤務の日は10時間働いても残業代は出ませんが、7時間勤務の日に8時間働けば1時間の残業代が出ます。
就業規則に記載されている所定労働時間を超えたら残業になるので、管理体制を整えたうえで実施しなければ適切な管理は難しいでしょう。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、日々の始業時間・終業時間などを労働者自身が自由に定められる特徴があります。裁量労働制との違いは、一定期間内に遂行すべき労働時間がある点です。
多くの場合は生産期間を1ヶ月とすることが多く、始業や終業のタイミングは自由なため、9時から6時で働くといった固定拘束時間がなくなるので柔軟な働き方が実現できます。
とはいえ、従業員全員が自由な時間に業務を行うと、ちょっとした相談事や打ち合わせなどの時間調整が大変になり、会社全体でみると非効率な状況を招く可能性があります。そのため、フレキシブルタイムとコアタイムを設定したうえで運用しているケースが多いようです。
- フレキシブルタイム→自由に出社・退社してもいい時間
- コアタイム→必ず勤務していなければいけない時間帯
すべての時間をフレキシブルタイムにして運用することも可能ですが、コアタイムを設定しておけば打ち合わせなどの時間を容易に調整することができます。
導入するメリット
フレックスタイム制を導入することで、企業は下記のメリットを受けられます。
- 優秀な人材を確保しやすくなる
- 残業や休日出勤を削減できる
- 労働者のパフォーマンス向上
始業と終業の時間を自由に決められるため、労働者のライフワークバランスは充実します。これにより、仕事のパフォーマンス向上だけではなく、残業や休日出勤の削減も可能です。
フレックスタイム制は、早く退勤することもできるため、メリハリのある仕事の分配で不要な残業や出勤を減らすことができるでしょう。
導入するデメリット
企業は、フレックスタイム制を導入することで生じる下記のデメリットに注意する必要があります。
- 勤怠管理が難しくなる
- 労働者に高い自己管理能力が求められる
- コミュニケーション時間の減少
最大のデメリットは、勤怠管理が難しくなる点。フレキシブルタイム内であれば自由に出社・退社ができるため、一日の就業時間がバラバラになりがちです。そのため、実労働時間がわかりにくく所定労働時間を満たしているかどうかが把握しにくい問題があります。
特にタイムカードで勤怠を管理している場合にフレックスタイム制を導入すると、所定労働時間を満たさない従業員が出てきたり、逆に残業が増えてしまう従業員も出やすくなるデメリットがあります。
また、自己管理能力が低い労働者だと円滑に仕事を進められないリスクもあるため、制度を採用するか否かはきちんと見極める必要があります。
裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制の勤怠管理のポイントを解説
自身の裁量で自由に働きやすくなる裁量労働制・変形労働制・フレックスタイム制は、勤怠管理が難しいという共通のデメリットがあります。
いずれの働き方でも労働時間の管理は不可欠です。労働基準法でも客観的方法による労働時間管理の記録が義務付けられています。ここでいう「客観的方法」は、自己申告制による勤怠管理ではなく、タイムカードやシステムによる勤怠管理を厚生労働省が推奨しています。
さらに、働き方改革関連法により、残業時間の上限規制など新たな管理項目が追加されました。そのためリアルタイムでの労働時間の把握と管理も必要になったので、今まで以上に適切な勤怠管理を行う必要があります。
裁量労働制の勤怠管理
裁量労働制の勤怠管理では、労働者の長時間労働に注意しなければいけません。
実労働時間に関わらず「みなし労働時間分」を働いたとされる制度なので、勤怠を正しく把握していなければ、知らない間に長時間労働を強いている場合があります。
裁量労働制の導入要件のひとつに、「対象労働者に適用する健康・福祉確保措置」が定められているのはこれが理由です。
企業は労働者の健康維持だけではなく、適切な給与を支払うためにも下記のポイントは必ず押さえておくようにしましょう。
- 手当が発生する深夜労働と休日出勤の状況
- 通常の制度と同様に出退勤時間を記録する
裁量労働制を導入していても、裁量労働で定めたみなし労働時間よりも実労働時間が長かった場合は超過分の残業代の支払い義務がありますし、深夜労働と休日出勤に対しては割増賃金を支払う必要があります。義務化されている客観的な把握については、勤怠管理システムなどを導入することで解決できます。
裁量労働制は一定時間を働いたとみなす制度ではありますが、客観的な労働時間の把握は義務化されているため、通常の労働形態と同様の出退勤の管理が必要です。
変形労働制の勤怠管理
変形労働制はその日ごとに労働時間が変わることもあるため、通常よりも勤怠管理が難しく、しっかりと把握していなければ計算を間違えてしまいます。
- 事前に期間内の業務量を共有しておく
- 事前に期間内の労働時間を把握しておく
- 残業代が発生する条件と計算方法の把握
1日8時間の法定労働時間を超えて所定労働時間を設定できる変形労働制ですが、残業代が一切発生しなくなるわけではありません。
変形労働制による時間外労働賃金の計算方法は、通常の労働契約と同じです。所定の労働時間を超えている分は時間外労働として扱います。
他にも、休日労働、深夜労働などの割増賃金があることも変わりません。残業代が発生する条件と計算方法は必ず押さえておきましょう。
フレックスタイム制の勤怠管理
フレックスタイム制の勤怠管理で気を付けるべきポイントは、時間外労働に関する取り扱いが通常と異なる点です。
清算期間内における実労働時間の超過分は残業代を払う必要があるため、出社と退社のタイミングは正確に把握しておかなければいけません。
フレックスタイム制を導入する際は、下記のポイントを押さえておきましょう。
- 勤怠管理を見える化して状況を把握する
- 残業代が発生する条件と計算方法の把握
フレックスタイム制で残業代が発生するケースは「清算期間内の実労働時間が労使協定で定めた時間より多い場合」に限られるため、1日の勤務時間が8時間を超えても残業とはなりません。
あくまでも清算期間内の実労働時間に限られますので、ルールの把握と勤怠管理を見える化するための取り組みは不可欠です。
さらに労働基準法の改正により、清算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に変更されました。もし清算期間を上限の3ヶ月とした場合、人力での勤怠管理は非現実的な難易度となったのは言うまでもありません。
働き方改革に対応!出退勤の管理はタッチオンタイムがおすすめ!
出社や退社、労働時間などをコントロールしやすい柔軟な働き方が注目を集めていますが、いずれも企業は出退勤の時間管理を適切に行わなければいけません。
従来のタイムカードでは、自由度の高いこれらの働き方を適切に管理することは難しいため、勤怠管理はシステム化することをおすすめします。
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まとめ
自由度の高い働き方として高い注目を集めている裁量労働制、変形労働制、フレックスタイム制の働き方の仕組みと、勤怠管理のポイントを詳しく解説しました。
従来のタイムカードではこれらの働き方には対応することは困難なので、導入を検討している企業は勤怠管理システムの導入も合わせて検討しましょう。
柔軟な働き方を取り入れている企業はイメージがよくなり、労働人口が減少している昨今でも優秀な人材を確保しやすくなります。また、出産や育児、介護などのライフステージの変化に適応しやすくなるため、離職を防ぐことにも役立ちます。
勤怠管理や給与計算が困難で導入に踏み切れなかった方は、この機会にぜひタッチオンタイムの導入をご検討ください。